2019年8月号Part2

『8月後半。』
ー 皇后杯予選開幕、関西チャレンジ遠征、プリンセスリーグ  

盆オフ明け早々、磐田東とのリーガは台風襲来で断念したもののそれに前後して紅白戦、中学生の練習参加、8/16には高校リーグ第4節として時習館(8-0。リナ2、ホノカ2、ナナコ2、リン、サヤ)を多目的グランドにお迎えしてのゲーム、と着々と進行。 
18日、県選手権(皇后杯県予選という方が最近はシックリくるか?)開幕。初戦、FCプロジェクトソニアと対戦。数年前まで東海リーグ常連であり、現在は県1部に所属、今シーズンは途中経過ながら首位を走る好調な結果を残している。どちらに転んでもおかしくないなという試合前の読み。当然、胸を借りる強い意気込みのアンガク。ちなみにこの日のテラスポ鶴舞は…暑かった!前半は行ったり来たりのシーソーゲーム。前半終了間際には決定的なピンチを招くも、悟りを開いたようなソラが好セーブ。スコアレスでハーフタイム。もう一度言うが、この日は暑かった!!後半に入り、ボールはバテないという意図的な展開が功を奏す。支配率を高めることに成功、しかし相手も幾多の経験を誇るプライドがある。そう簡単にはゴールを割れない。正直言うとPKの順番を考え始めたころだった。まずはリナがこじ開け、溜飲を下げる一発。安堵の輪。直後、勝利を確信させる追加点はホノカ。歓喜の輪。後半に入り、守備陣も試みた修正が成功。結局無失点、2-0で突破。ラスト5分が熱かった!!!

皇后杯一回戦の翌日19日早朝から関西チャレンジ遠征出発。大商学園竹内先生に昨年度飛び込ませていただき、今年が2年目。マッチメイクからありとあらゆる面でご面倒をおかけした。もう、本当にどれだけ感謝しても、し足りない。
J-GREEN堺に到着早々、お会い出来たのは…村田女子の矢代先生!茨城でご挨拶をと思っていたら別方面に行かれており、ちょっぴり寂しい思いをしたのだが(でもBチーム率いる有田さんと相変わらずの熱いトークも楽しかったです笑)今回は私を見るなり逃げ惑う仕草…。完全に片思いである。そんな初日は夕方手前からひどい雷模様。村田女子戦は前半をTOP(0-1)で、後半をSECOND(1-5、得点はナギ)でチャレンジ。2試合目の京都精華はMIX気味のTOP(1-0、リナ)、と計2試合で終了。
20日にはTOPが大阪桐蔭(1-0、リナ)、SECONDが大商学園(0-5)、そしてTOPが東海大翔洋。この日のベストゲームは翔洋戦。惜しくも1-2(得点者はナナコ)の敗戦であったが戦い方の挑戦と成功体験を獲得できた。まだまだ手探りの面はあったが成長を実感できたというか…手応えある内容だったことは試合後の部員の表情で読み取れる。
二日目の夜にはチームミーティング(という名の「中野の考えを眠気をこらえて頑張って聞く会」笑)。いくつかの試合メモを提示し、戦術的な解釈について理解と共有を促すための話をした(どうやらミーティング後にそれを題材にしたポジションごとの話し合いがあったり、それ以外の視点についても攻守両面において彼女たちなりの議論をしたようだ。頼もしい限り)。そして、各学年への話。それは問いかけであったり要求であったり努力を認めている、というようなこと。時には明確な言葉にして伝えることは集団としての力量を醸造するには不可欠な作業だ。すべてが順調に行くわけではない。順調に行くことをただ目指しているのではなく〝良き集団になるために葛藤している最中だという現実を共有すること〟が大事なのだと私は考える。

翌21日、大阪最終日。改めてJ-GREEN堺で部員の表情や行動を見ると、各学年それぞれに何か吹っ切れたような顔をしている者が多かった。あるいは心機一転やるぞという空気を纏う者がいた。人数の少ない1年生に自ら付き合い荷物運びをする者。決してめんどくさそうな表情ではなく、どこかにこやかですらある。また、SECONDに甘んじることを良しとせず、しかし自分の立ち位置を真面目に受け止めそこからどう成長しようかと取り組む姿勢も改めて強く感じさせる者もいた。当然、TOPメンバーも不甲斐ないプレーを許されるわけはない。それぞれが自身に課す課題は、そのままチームの成長の振り幅に等しい。チーム全体が好ましい方向に向かうという、あるべき状態になっていた。見事な覚悟、素晴らしい部員たち(もちろんそんなことは面と向かって言うわけはない、褒め過ぎるのは気持ちが悪い笑)。
この日のゲームはまずはTOPが竹田南と。続いてSECONDが大阪学芸に挑戦。遠征ラストゲームはTOPが初顔合わせの暁星国際と対戦。竹田南(大分)は本格始動してまだ数ヶ月とのこと。だがすでに野心に満ち満ちたチームの雰囲気があった。対するアンガクは主力組を並べるも今ひとつ噛み合わない。気持ちと体が少し空回りする様子。ならば手ぐすねを引く控え選手たちを放っておく必要はない。前半途中から交代カードを随時切り、紅白戦ミックスチームさながらの構成に。後半途中にユイが強烈に叩き込んで1-0で勝利しても笑顔ゼロ、は自分たちはこんなもんじゃないという強い責任感と自負の表れ。
続く学芸はCチームとのことであったが各自本当に力量あり、終始圧される展開。しかしだからこそセカンドメンバーにおける守備時の個の課題は浮き彫りになるのだ。また、そんな中でもダイレクトの展開や必死のサイドチェンジが何度か成功。フィニッシュのシーンとまではなかなか進攻できなかったのは悔しいが「今できること」を精一杯やる姿勢によって、トータル0-5の点差よりも見応えあるゲームになったと思う。

暁星国際(千葉)はこの日の3週間前に全国総体で初出場ながら8強進出を遂げた。そんなチームとこのタイミングで出来るとは。前半からエンジン全開。時間の経過とともに徐々にセカンドボールへの優位性が目立つように。前半25分、相手に囲まれたミサトからサイドに展開、受けたナナコからのダイレクトスルーに反応したリナがファインゴール。しかしさすが暁星国際、間もない前半27分に失点。同点で後半へ。
後半も一進一退の攻防は続く。互いに気の利いたカウンターを見せながら、ボール際への執念深いプレーで質の高い試合内容に。均衡を再び破ったのは後半11分。アズの放ったCKをナナコが得意の形でズドン。その後もスコアこそ動かなかったものの緊張感のある試合となった。結果は2-1、勝利でこの遠征を締めくくることができた。
帰りの道中には昨年に続き道頓堀へ。大阪ツアーのもう一つの楽しみである。時間は少々短めであったが写真を見せてもらうと美味しそうにたこ焼きをほおばったり、グリコサインの前でポーズをとったり。こういう賑やかなひと時も次への活力になる。

25日、皇后杯二回戦。対中京大学。最近は以前に比べて少し対戦する機会が増えている。毎年力量ある選手が入学し、バランスよく配置している印象。個の能力も高まっている様子だが、何よりも率いる大家監督による戦術的な落とし込みと徹底が素晴らしいと思う。試合が動いたのは前半。センタリングの角度と思い切りの良い判断が、相手ながら見事であった。被弾、0-1。後半に入り、良いシーンが増えるもゴールネットを揺らすにはかなり時間がかかってしまった。後半24分、中京大CKをきっちりしのぎ、ホノカ→ミサト→ホノカ→リオン→リナ、とダイナミックなカウンターで仕留めることに成功。それにしても夏に入り、最後の最後で試合をひっくり返す、いわば攻撃的な底力がついてきた。1-1。
その後はPK戦で惜しくも散ったが、内容も結果も今夏の成果を大いに発揮できたと言っていい。準々決勝でU15全国準優勝のラブリッジユースと戦う機会を逸したことだけは残念だが、これもまたトーナメントの醍醐味。一回戦のFCプロジェクトも二回戦の中京大学もカテゴリーが上の強敵なだけに、この経験を今後にどう生かすかが大切であろう。

27日28日の両日は学校見学会と併せて体験入部を実施。27日には約1800人の中学生が来訪しそのうち15名が女子サッカー部体験に参加。28日は約670名の中学生来訪で16名が体験参加。特に28日は降雨の影響もあって実施自体が危ぶまれたが急遽教室の机と椅子を搬出し、2クラスを使っての楽しい催しとなった。両日とも完全な未経験者はほぼ皆無。参加者の技量レベルには当然違いはあるが、サッカーの世界との関わりを続けたいという意思は本当に価値があるし、本校がその助けになれたら本望である。
多くの中学生と言葉を交わした。その中で、ある出来事。アンガクの体験はどうだった?と水を向けると「実はわたし…すごく内気というか…なかなか人とうまく関われなくて…他の高校の部体験ではうまく話せなくて…でも今日はすごく楽しかったです!先輩方がたくさん話しかけてくれて優しくって…楽しく参加できました!」。実際にこの中学生がアンガクに来るかはもちろん分からない。ただ、高校生になること、新しい人間関係をつくることに対して少しでもポジティブになるキッカケに私たちがなれたなら、それだけでアンガク女子サッカー部の存在意義であるとも思う。

30日は県高校リーグ1部第5節vs同朋。堅守速攻を旗印とするチーム。新戦力を交えて更なる成長を目指しているチームだ。キックオフ。開始直後から支配を強め、まず前半11分、押し込んで狭くなった局面にあえてミサトがドリブルで突っ込み、オープンにポジショニングをとったリナへ。見事なクロスのターゲットになったのはヒロナの頭。1-0。続いて後半3分、CK。キッカーのアズからナナコの頭。2-0。最後に後半24分、支配的なポゼッションから意表を突くダイナミックな展開。すかさず決めたのはリオンの右足。3-0。もう少し積み重ねるチャンスもあったが出来なかったのは拙攻ではなく同朋の粘り強さゆえ。

31日は東海プリンセスリーグ1部第3節、vs藤枝順心。(40分前後半のリーグ後、TM30分1本も実施。スコアは0−2)。2年前の東海地区予選以来となった対戦には、思うところが深く、大きい。あの時は0-8の完敗。メンバーは互いに大きく違うし、順心はトップメンバーではない。そんな中、どれだけ近づくことができるか。
前半17分失点。前半25分失点。前半終えて0-2。
後半10分失点。後半28分得点。ホノカの献身的なキープから始まり、角度のほとんど無いところで決めたのはレン。そして試合終了、1-3。
TOPofTOPのメンバーでなくとも球際の鋭さやボディコンタクト時の足首の強さだったり1stタッチの質だったり、謙虚に学ぶべきシーンばかりの80分だった。
この夏は多くのチームと実戦を組む機会をいただいた。いずれの試合も有意義であり、困難がつきまとい、そして建設的な挑戦があった。その中でもやはり常葉橘、村田女子、そしてこの日の藤枝順心など、チームとして圧倒的に強い集団との経験は「上手くなりたい、強くなりたい」私たちにとって、さまざまなヒントとなる。

9月、もう一息、力をつける。