2019年3月号Part2。

『リスタート、をいつからするのか。』
ー関東チャレンジ・オフィシャルナンバー 

17日に東海プリンセスの打ち合わせ会議。東海4県強豪の先生方が一堂に会する場である。そこで次年度からの1部昇格が正式に決定。個人的思惑からは本音を言うと1年遅れなのだが昇格はやはり嬉しいものだ。藤枝順心の多々良先生が中心となり、ご苦労されて立ち上げた東海4県によるこのリーグも創設から5年が経った(現在同様の2部制は4年前から)。参加校の出入りは若干ありつつアンガクは4年前から関わっている。まさに男子で言うところのプリンスリーグであり、すでにプレミアにあたる全国リーグの骨格も存在する。どうやらJFAからも、女子サッカーにおいてこういった地域リーグ開設について全国各地域に対しリクエストされる動きになりつつあるという。その先進地域の一つである東海において最後尾からついていく立ち位置であっても創成期から関わり続けることの意義は大きい。ちなみに1部所属は藤枝順心、常葉橘、聖カピタニオ女子、東海大翔洋、帝京大学可児、そしてアンガク。このステージでの苦労が実を結ぶ時は必ず来る。

3月19日、本校は平成最後の修了式。しかしここからが年度末のチーム作りにはラストスパートの時期となる。数回の紅白戦を挟みつつ、21日のvsJUVEN&丸岡RUCKが雨で流れつつ(泣)、24日にシロキFCリベルタと実は初の練習試合を行いつつ、26日から関東チャレンジ遠征へ。毎年のように関東本面にはお世話になるが夏ばかりであり、この季節に行くのは実に数年ぶり。村田女子の矢代先生にご面倒をおかけしっぱなしのマッチメイクであり、実に充実した3泊4日であった。
26日は杉並総合、晴海総合、村田女子Bと。
それにしても杉並総合高校に限りなく近いところに行ってからが大変であった。閑静な住宅街に位置するため、とにかく道が…狭い。はっきり言えるのはこれを読んでいるみなさんの想像を間違いなくはるかに超える細さの道路であったということ。さすが大都会TOKYOの高級住宅街である。それにしてもオンラインナビを信用し過ぎた私がいけなかった。道に迷った挙句、左折もできず右折もできず左右の隙間が推定数センチ(これマジ。だって車窓から隣家の生け垣が触れるレベル!)のダンジョンを文字通りすり抜けると乗客(=部員)からどよめきと拍手が。アラフィフの私が輝く数少ない瞬間である。ちなみに顔はドヤっていても冷や汗びっしょりだったのは言うまでもない。期せずしてカンテラ号の運転技術がまた上がってしまった。そんな私を救ってくださったのが杉並総合の梅原先生である。狭小な曲がり道で突如現れた先生が誘導してくださったのだ。京都訛りと素敵な笑顔で案内してくださったおかげでストレスも吹っ飛んでしまった。やはり笑顔は大切であると実感。

UP時間もほとんど取れない中、1本目の杉並総合戦でかなり多くの部員が出場。ゲームを通じて体をフィットさせた(0-1)。2本目に村田女子B(1-0、得点はリナ)、3本目に晴海総合(1-1、得点はヒロナ)、4本目に再び晴海総合(0-0)。まずいシーンもそれぞれのゲームで出てしまったがこの遠征のメインテーマの一つである〝新1年生との融合〟の入り口には立てたと言える内容であった。
二日目27日は前後半35分のカップ戦形式。会場校である杉並総合に加えて村田女子B、日本女子体育大、そしてアンガクでトーナメント。一回戦では力強くて堅実な杉並総合相手になかなか決定機を見いだすことができない。詳細にわたって鍛えられている印象が強く残る好チームだった。それでも後半12分にユイがミドルレンジ、さらに終了間際にはエンドラインぎりぎりでヨッシーが上げたクロスをホノカが丁寧に合わせて2-0で勝利。続いて村田にPKで競り勝ったニチジョと決勝で対戦。五分五分の時間が多い中、大学生らしいランの工夫に惑わされ先に失点。しかし負けじとミサトが中央で圧巻の突破から完璧なフィニッシュを決めて追いついた。手前味噌ではあるがこの日一番、会場がどよめいたシーンであった。後半も支配率高く攻め入るもギャンブル性の高いフィニッシュを決められてしまった。ただ、それを狙うという発想、決断力、そして蹴る技術は謙虚に学ぶべきものである。結果、1-2でホイッスル。二等賞は試合球をひとつ。もっと練習しろということである。

三日目28日も前日同様トーナメント。この日から国体合宿が始まるということで国体愛知にリストアップされているリナを昨夜のうちに新幹線で品川駅から送り出している。主力の1人を欠く中で何が出来るかというのも大切な見極めでもある。まずは会場校の野津田と対戦。トップ入りを目指す部員も経験値を高めるべく起用し4-1で勝利(ホノカ2、ヨッシー、リオン)。野津田は誠実なプレーぶりで運動量もメンタル面もかなりエネルギッシュであった。学ぶべき要素も多々あり、受けに回ってしまう悪癖が出たアンガク部員全体に対し試合後には久しぶりに雷を落とした。とはいえアンガク遠征あるあるである。ここから部員全体にスイッチが入った(ような気がする)。続く決勝は村田女子Bと。これが公式戦と見まごうほどの好ゲームになったのはB扱いとはいえ、まさに矢代イズムが存分に浸透した村田女子ゆえ、であった。ちなみにゲーム後、村田女子率いる有田さんに伺うと何人かはTOPチームと入れ替えるとのこと。納得。前半4分に先制を許すも、前半16分にワンツーのスキップからホノカが決めて追いつく好展開。1-1のスコアで後半が進むが30分にPKで失点。その後いくつか得点の匂いがする場面はあったが追いつくことができず、1-2で決着。二等賞は再び試合球をひとつ(これでつまり計2個)。もっともっと練習しろということである。

この日の夜には次年度一年間のオフィシャルナンバーを決めるミーティングも実施。それぞれの思いを聞き取り、こちらの期待を添える。年度末の恒例行事を意義深いものにするには、思いを持続し一年間でどれだけ成長を目指せるかが鍵となる。遠征参加の25名全員に期待しよう。

最終四日目29日はフレンドリーマッチ形式。もう杉並の住宅街にも慣れてカンテラ号の運転技術向上の機会はない。残念至極(ウソである)。最終日は杉並総合と2本(0-0、0-2)、東久留米総合と2本(0-0、3-0)。ポゼッションサッカーに強いこだわりを見せる東久留米とのゲーム、1本目は良いチャレンジが出来ずリアクションに終始。奮起を促した2本目が今遠征のラストマッチ。研ぎ澄ますためのキーワードは〝集中、予測〟。まさにBeAlertの具現化。〝見ておく〟ことの頻度を上げ、言葉のやり取りもシンプルで明確に変化。その上で貪欲にゴールを狙う。かなり支配力を強めた上で結果的に様々な形でゴールを奪うことに成功した。

今回の遠征のメインテーマは前述〝新1年生との融合〟とズバリ〝インターハイに向けたセレクト〟。しかしその言葉の裏側にはセカンドメンバーがチームにどう存在していくか、という明文化されない命題が残される。出番の少ない(あるいは出番の無い)部員が同じ時間をどう過ごすか。形だけのウォーミングアップだけをこなし、本来やらなくてはいけない自身の成長に加担できないばかりの時間を過ごすのはどうにもいただけない。結果、ゲーム時間に合わせピッチ近くで全力のトレーニングに精を出すようになった。パス、対人、ダッシュ。常に100%の取り組み。その上で、意識は試合へ。求めたのは試合後に全員が集まって、誰が試合に出ていたか判別できないくらいの息の上がり方。当然、途中出場の声をかけてもフィットするまで時間は掛からない。これが正しいウォーミングアップ。

こんなことはもしかするともっともっと前の段階でチームに浸透させるべきことかもしれない。あるいはチーム作りが佳境を迎えた夏あたりに出来ていればいいのかもしれない。しかし、いずれにしても、互いをリスペクトする対象にするには不可欠なアクションであると確信。であれば、思い立ったところからすぐに開始すればいいのだ。これもまた、アンガクらしさになっていけばいい。

遠征後の恒例遠足は浅草寺へ。観光地らしい物凄い雑踏をかき分け、人形焼を食し、スカイツリーを見上げ、海外からの観光客の多さに国際都市を体感し、つかの間の休息を終えて一路愛知へ。途中休憩の足柄SAではめぬま帰りのカピタマイクロと遭遇。ほぼ同じタイミングで〝瀬戸のウォーリー〟カジやん先生も休憩だった。なんたる奇遇!驚きとともに互いのコメントの多さを思い出しては今もほくそ笑む。行き先は違えど互いに充実の時間があったことを感じ合えたひととき。
帰りのカンテラ車内は試合映像を見つつ、バスミーティング。そこにトップもセカンドも無い。心地よい雑音のおかげで、私の眠気もどこへやら。

さあ、4月。チーム一丸で一歩ずつ。