2019年2月号。

『群雄割拠、気骨稜稜。』
新人戦 準々決&準決&シード順 

新積み重ねたものを表現できた良いシーンもあったし、悔いが残るまずい采配もあった。確信するのは愛知の高校女子サッカーは質とスピードが向上し本当に面白くなってきた、ということ。もちろん、その中で思い通りの結果を手に入れることができれば最高だったのだが。
第3位(事実上は第4位)で終えた新人戦を振り返る。

2月2日に準々決勝。vs同朋。常に上位進出を狙う位置にいる好チーム。いつの間にか明確なチームカラーをもつようになってきたのは率いる本田先生の熱意に起因するのだろう。決して侮れない存在である。
当然ベストメンバーで挑んだ一戦。前半から攻守の切り替えが鮮やかに決まった。先制は前半26分、きっちり決めたのはリナ。その後も支配するも同朋ももちろん奮闘。1-0で折り返した。後半に入ると一層、攻撃の圧を高めることに成功。後2分にPA外からアズミ、4分にはアズミの突破から得たPKをミサトが決め、これで3-0。さらに交代出場のレンが後半30分に公式戦初得点。チーム全体が湧いた瞬間だった。最後を締めたのは33分にセットプレーを直接叩き込んだリナ。この試合、忘れてならないのは守備陣の安定感。厳しい競り合いのシーンを制圧し続け、終わってみれば被シュートゼロ。GK含めた集中力の維持が5-0のスコアを生み出した。

翌日3日にはフェルボールと練習試合。あいにくの天候で急遽試合時間を短くしたが、随所に好プレーを魅せてくれるU15の強豪に対し後手に回る場面が本当に多かった。素晴らしいパフォーマンスはそのまま私たちにとって良いレッスンでもあった。簡単ではない試合の中、様々な形でゴールを決めることができたことも前向きになるエネルギーになった。足立さんに心から感謝。

9日は準決勝、vs聖カピタニオ。高校選手権全国大会でベスト8という快挙を成し遂げたばかりのチームは3年生が抜けたとはいえ、やはり抜きん出た力量を誇る。試合前(実は周囲から言われて気付いたのだが)いつもなら軽口を叩き合う多田御大との時間も思いがけないほどに言葉数が少なかった。かける思いと交わす言葉数は反比例するのかもしれない。
前半。キックオフから緊張感が漲る、準決勝にふさわしい内容。当然のように危機的状況もあったが培った力を武器にして好機も手に入れた。

互いのアタッキングエリアだけでなくミドルサードでも火花を散らすようなシーンを演出し、見応えある展開だったと思う。前半25分の不運なPKで前半唯一の失点を喫しても、気持ちを切らさずに白熱したプレーを継続できたことは部員の内的成長を感じるシーンであった。0-1でハーフタイムへ。

最小得失点差のまま最終盤で勝負をかける、はずだった。だが、そうはさせてくれないのがカピタニオ。だからこそ、私(たち)は燃えるのかもしれない。後半5分、そして7分に連続してネットを揺らされた。想定外に早い失点に対してプランに見切りをつける。いくつかのポジション変更をして攻撃のためにギャンブルを決断。リスクと引き換えに攻撃のカードを手にした。しかしこの采配が結果的に裏目に出てしまった。出場した選手は間違いなく全力で役割を果たそうと駆け回った。悪いのはプランであり私の判断だ。一度開けた穴を埋めきることは困難であった。続けざまに4失点を喫し、0-7で敗北。最後まで得点を目指しショートカウンターやセットプレーでチャレンジをし続けたことは気持ちの強さを見せた場面でもあり、悔しさだけで終わらせない意地のようなものだったようにも思う。
ここで負けることに慣れてはいけない。勝負を終えたあとの潔さと勝敗への淡白さは一見すると紙一重。だが本質は全く異なる。相手を称え、存在価値を認めあえば、それは次の一歩を踏み出すエネルギーになる。過ごす時間に主体的責任を感じなければ、導き出した結果はただの記録でしかなく虚無な経験で留まることになる。果たしてアンガク部員の心はどうだろうか。

翌日にシード順決定戦。対愛知啓成。互いの力量を存分に知る好敵手。星勘定では勝るものの今回は啓成に軍配が上がった。簡単に振り返る。
前半、押し気味に進めるもセットプレーから配置のマズさを突かれ先制を許す。0-1で後半へ。だがハーフタイムの表情は思いのほか前向きな様子。これは期待がもてるかなと思った後半。リナ、そしてナナコのゴールで逆転に成功。このあたりは練習の積み重ねが表現できたと自負。だが前のめりなまま試合を進めると再びセットプレーで失点。試合運びが純朴すぎた。そして後半アディショナルタイムに決定的な追加点を献上。2-3でホイッスル。

新人戦期間に毎年思うのは〝このメンバーで戦う唯一の大会〟ということ。13期生があと数日で卒業式を迎え、更にあと3週間もすれば16期生が本格合流してくる。一抹の寂しさと高まる期待が同居するような不思議な時期だ。とはいえここで一旦休止、なんてする気は毛頭無い。巣立った多くの卒業生達が当時そうだったように、今まで以上に顔を上げて挑戦し続ける。