2018年9月10月合併号Part1
『安城学園、かく戦えり。』
ー高校選手権、決勝リーグ第1節&第2節ー
そういえば最近独り言を書いてないなぁと自覚はあった…しかしまさか9月号を書いていなかったとは!我ながらあまりの衝撃にコメダの熱いコーヒーを吹き出した。辛うじてMacBookAirは生きてます。推定100名超(?)の愛読者の皆様、お待たせしました。中野は生きてます。
9月を振り返らないと10月が見えてこない。
9月1日と2日は皇后杯。
2回戦で豊田レディースと対戦、1-0の辛勝。どちらに転んでもおかしくないゲームをモノに出来たのは、球際の激しさを表現できたから。後半28分、二人に囲まれ倒れたナツキが諦めずリナへ繋いだ。アウトサイドからインサイドへ侵入すると呼応したホノカにスルーパス。そのままホノカが抜け出し、冷静に流し込んで勝負は決した。
翌日に準々決勝、対NGUラブリッジ名古屋ユース。昨年度も皇后杯予選で対戦しており、その時は主力の怪我もあってスコアレスになんとか持ち込んでのPK勝利。今回は流れの中での得点を目指す試合。すると開始2分、思惑通りサイドの突破から中央でしっかり合わせきり先制ゴール。2試合連続ゴールのホノカを中心に歓喜の輪が出来た。あまりに早い得点に気が緩んだとは思わない。しかし前半8分、エンドラインの突破を許してしまう。中央に折り返されてもマークはしていたがセンタリングの角度が相手ながら素晴らしかった。これで1-1同点。後半に入っても得点を目指したが17分と20分に突破を許してしまい連続失点。1-3で落とした。厳しいヤマだったとはいえベスト8は悔しい結果。皇后杯予選が終わった。
9日は県高校リーグで豊川と対戦。今シーズンの豊川はタフだ。率いる牛田くんは指導者として日に日に逞しくなっている。本当に手強いライバル。前半、再三の好機を逃してしまった。流れが掴めない悪循環。決して悪い場面ばかりではないのに決めきれないことが大きなストレスになってしまった。ただ、そういう心を回復させられなかった私の力量不足が悔しい。反比例するかのように決定機で確実に決めてくる豊川。結果、0-3で落としてしまった。心技体は掛け算だと、改めて考える。
高校選手権はシードのため準決勝から。残す実戦は2つ。15日の県高校リーグ1部第4節としてvs至学館。そして17日は愛知東邦大学とトレーニングマッチ。
別に悩んでいたというわけではないが、こういう、ちょっとうまくいっていない時には活字に救われることも多い。多田さんのいい具合に肩の力が抜けた文章でちょっと笑わせてもらったり永井くんの真っ直ぐな原稿で苦労をなんとなく共有したり。ちょうどこの頃はあるスポーツ記事で「指導者に必要なのは言葉だ」と。深く同意。心を促し、共通項を見つけ、方向づけをする。そのためのキーワードを生み出し、大きなベクトルをつくる。良い指導者と言われる人にはそれぞれにそういう力がある。そんな文章だった。
至学館戦は「積み重ねる」ことをテーマとした。このぐらいでいい、という(無意識下の)甘えを排除したかった。日常的に紅白戦の頻度を増やす中でとことんやりきる強い意志を呼び起こした。その上で発する言葉は、そのバックボーンを容易く呼び起こし、やるべき行動を可視化する。必然、相手ゴールに向かう攻撃本能が持続した。スコアは7-1。内容的にも悪くない出来。
東邦大学との一戦も得点こそ多くは奪えなかったが球際のハードワークを実行することや体格差のある相手選手に対し工夫を見ることができた。主力中心で戦った35分2本は1-1、0-2。控え組中心の3本目は0-4。スコア以上に頑張った部員も大勢いた。控えメンバーの奮闘も大きな力になった1日。
9月30日、高校選手権4回戦。対時習館。ここを突破すると上位4校の決勝リーグに突入するという大事な一戦。前日からの雨が止む気配のないピッチに手こずるも開始早々からゴールラッシュ。3分に中央からリナが決めると8分にはホノカ、12分にはCKをナナコがうまく合わせ、
22分には再びリナ、28分にはピッチコンディションをモノともしないミサトがミドルレンジを決めた。後半に入ると2分にユイがコボレを押し込んで口火を切る。28分にはヨッシーのCKを一度はGKに触られるも降雨でかなりスリッピーな状態。それすら予測したユイがこの日2点目を決め、終了間際の34分にはナツキがきっちり決めて役者が揃った。とはいえ、後半途中には時習館に苦しめられたシーンも。交代カードを切り始めると隙を見せたつもりは毛頭ないが一気呵成に攻め入られた。こういったところは時習館主力のポテンシャルを素直に認めるべきだし、さらなる高みを共に目指せればと思う。結果、8-1で勝利し決勝リーグへ。
決勝リーグは結果的に全てシード校が出揃った。カピタニオ、豊川、安城学園、愛知啓成。東海地区予選の切符は、2枚。
10月8日第1節、vs豊川。この試合にかけるアンガク部員の気持ちは相当なものだった。今シーズンで一番高いモチベーションだったと言ってもいい。無理もない、今年度は負けが先行してしまっているのだから。
キックオフ直後から、少しずつ上手くいかなかった。それでもなんとか最少失点に堪え、前半途中からは時間の経過とともに押し返すシーンをつくれたのはここまでの苦労と成長の証だとも思う。だが後半に入り、さらなる圧を受けてしまった。無論、相手を褒めるべきシーンも多々あった。私が思うにこの日の豊川は過去最高のパフォーマンスであった。本気なのは相手も同じである。アンガクはどうしても後手後手に回り、攻守一連の動きはほとんどが相手チームのシュートで終わる展開。打ってくるシュートがことごとく枠いっぱいを捉えてきたことも苦労に拍車をかけた。後半だけで4失点。ホイッスルが響いた。
テラスポ鶴舞を出てすぐの木陰。全員で集まり、堪えることのできない気持ちを部員を前にして赤裸々に伝えた。自分自身に対する憤りも正直に話した。他方、心の持ち方にも言及した。人間、うまくいかない時に本性は出るものだ。得点が奪えない時、驚くようなミスをしてしまった時、思考が止まり心が止まると動きも止まる。下を向き続けると仲間と気持ちが繋がらない。自分たちにとって本当に求めなくてはいけない部分をもう一度、強く要求した。そんな辛い状況でも部員たちは私の話に耳を傾けてくれる。だれもがこの状況を必死で受け止めていたと思う。
翌週、第2節のカピタ戦に勝つことが自力で東海進出する条件。残された時間はわずか。出来ることは限られている。しかし誰もが全く諦めなかった。東海に挑みたいという思いを強く共有した練習が始まった。真剣味が増した取り組み。ゲーム形式でもこれまでにないほど声を掛け合う部員たち。攻守の激しさは公式戦かと見違うほどでもあった。
セカンドメンバーも素晴らしかった。自分たちが奮闘することがチームの底上げになると深いところで分かっているからこそのファイティングスピリット。あるときは主力組を押し込む場面を作り、合間には自然と反省会が始まる。この雰囲気は夏の遠征で3年生がつくってくれたものだ。その輪の中で白熱した意見交換。紅白戦が有意義なものになるのは必然だった。
10月13日、第2節 vs聖カピタニオ女子。結論から書くと前後半ともに2失点ずつ喫してしまった。0-4の敗戦。試合終了後には悔し涙が溢れた。しかし前節とは全く違う戦いが出来たと自負している。もちろん失点は全て悔しいものばかり。1失点目のダイレクトプレーはもっと体を当てれたはず。2失点目は打たせてはいけない距離だったし絶対に抑え込まなければいけないシーンだった。それ以外にも反省点はいくつか思い浮かぶ。ただ、今までの戦いと違ったのは誰も全く下を向かなかったことだ。点を取りに行く攻撃的な姿勢もスプリントの本数も素晴らしかった。最後まで強く声を掛け合い全員で戦い抜いた。極めてシンプル、しかしチームとして戦う上で不可欠な要素を練習通り29人全員で心一つにやりきった。
自分たちの試合の後 、豊川対愛知啓成を固唾を飲んで見守る。
ゴールネットが揺れるたびにため息が小さく漏れ、この日初めて下を向いた。
終了を告げるホイッスル。
この時点で私たちが今シーズン掲げた目標が潰えてしまった。残り1試合を残して東海進出ならず。
そして…3年生の引退が10月20日に決まった。