2018年7月Part2

『受けに回るか、攻めに出るか。』
ー 夏の大会準々決&準決&三決  

7月下旬、第3位となった夏の大会を振り返る。
7月23日準々決勝、対至学館。永井先生率いる蒼の軍団は戦力の充実が著しい。無論、今までの旗印であった"戦うDNA"も健在。過去を振り返れば一緒になって清水レディースカップに参加していた時期も。そんな盟友とも最近はクジ運も無く対戦機会が減ってきたが、今も存在を強く意識するチームの一つであることは当然である。
前半から内容的には押し気味に進めるも相手の気迫に圧されたか、ゴールネットが揺らせない。まぁこういう試合もあるか…スコアレスでハーフタイムかな…と思った前半アディショナルに裏を取られあっさり失点を喫す。0-1で前半終了。
酷暑も堪えたか、ハーフタイムの表情も冴えない。失点の責任を感じすぎたメンバーはすでに心ここに在らずといった様子。こういうときに細かいことを言っても耳に入らないのは誰でも同じ。伝えたのは明確なことを一つだけ。1点取れれば気持ちを持ち直して流れをつかめるよ、ということ。
後半、開始早々から積極性を取り戻したアンガク。まずは4分、コーナーキックを一度は跳ね返されるもミサトが難しい浮き球を見事なボディーバランスで右足一閃。続く6分にはサイドからの折り返しをナツキが決めた。こういう大事なところで確実に決め切るところが成長を感じさせる。これで2-1。チーム全体が落ち着きを取り戻した9分にはFKをダイナミックに叩き込んだ。キッカーはリオ。練習の空いた時間には必ずといって良いほどセットプレーのキック練習に励む姿がある部員だ。10分にはリナがスピードとキレを生かして突破とゴールを決めた。これで後半開始から10分で4ゴール。その後も至学館の粘りに苦労しながらも凌ぎ、26分にはリナがこの日2得点目となるPKを決め、5-1に。先制点を許して苦労する流れになったがベスト4入り。これで高校選手権のシード権が手に入った。

7月24日準決勝、対豊川。指導者が年度途中で変わり、取り巻く空気が一気に変化したのを感じる。もともと素材は素晴らしく、これまでの対戦でも常に苦労してきた強豪。
この試合も先制を許してしまった。前半を終えて2失点。イエローカードをもらう愚行まで出てしまった。ただ、試合は終わっていない。0-2で迎える後半はシステムを変えて押すシーンを増やすプランに。そのことが功を奏したか後半11分、中盤でナナコが奪取しそのままスルーパス。反応したホノカが抜け出してゴール。これで1-2。

更にあと1点を取りに、そして逆転を目指して積極果敢に攻め立てるアンガク。何度かビッグチャンスもあったがほんの少しが届かない。全国レベルを目指すのは対峙する豊川も同じ。気迫と気迫がぶつかる球際。最終盤までチームとして押し込み続けたがスコアは動かず。そのまま試合終了のホイッスル、1-2の敗戦。これで翌日の大会最終日は3位決定戦に回ることに。決勝を逃すのは16年度の新人戦以来。実に8大会ぶりである。

7月25日、3位決定戦。2年前の3決と同じカード、愛知啓成。それにしても啓成との試合はいつも得点がよく入る印象がある。この予感が吉と出るか凶と出るか。
開始早々、なんと30秒で失点。初スタメンのGKくるみはきっと心臓が飛び出そうなほど緊張していたに違いない。11分にも失点を喫し、前半を0-2で折り返す。
後半に入り9分にユイが狼煙を上げる一発。21分にはナツキが決めてこれで2-2。チームも乗ってきた。その後も押し気味の試合内容に、更に1点とって勝利…と思った矢先、26分に失点。やばい。しかしシーソーゲームでこそ違いを発揮できる選手がアンガクにいる。後半29分、センターライン付近でインターセプトしたユイがそのままの勢いでドリブル、それを追い越したナツキによるドラマチックな同点弾。3-3。そのままホイッスル。酷暑のため変更されたレギュレーションにより延長戦はなく、PK戦へ。5人(ホノカ、リオ、リナ、ミサト、ナツキ)全員がきっちり決めるのが誇らしい。サドンデスに突入するとGKくるみが完全に読み切り、前半のミスを帳消しにするドンピシャのPKストップ。続く6人目のユイが確実に決め、これで勝利。薄氷の上を歩くような展開ではあったが随所に持ち味を発揮。終わってみれば両チーム合わせてPK含めて17回もネットが揺れたことになる。予感的中(笑)。

試合後には木陰に集まり、のんびりミーティング。今大会の苦労と経験を振り返る。決勝トーナメントでは全試合、コンディション不良や諸事情でスターティングを変えざるを得ない状況であったこと。勝利は部員のおかげであり敗北は指導者の責任。重要なのは謙虚さであり、求めていきたいのは呼応する力と人間性。涙を流すのは何のためか。

正面を向き熱心に私の話に耳を傾ける部員の姿。その背後では、決勝。


夏はこれからだ。アンガクは、攻めに出る。