2018年3月

『成長、表現、融和。』
ー 修学旅行、ミステリーツアー、本格合流、北陸遠征 

上のサブタイトルを打って再認識。「なんて盛り沢山な3月!」。

久々のPNFCを終えた翌週、2年生が修学旅行に出向いた。安城学園は5つの行き先(北海道、沖縄、シンガポール、北九州、屋久島)から1つ選択するシステム(とはいえ最近は珍しいわけでも無く、そういう高校がかなり多い、らしい)。女子サッカー部の2年7名は北海道に4名、シンガポールに3名。それぞれの行き先から毎日ズンバの取り組みが動画で送られてきた。北海道組には途中から全国準優勝の女子バスケが援軍(?)として参加。同じ動きのはずだが全くシンクロしていない。笑いをこらえる女子サッカー部員とのコラボはあまりにもシュールで、やけに滑稽な映像に仕上がっていた。しかも動画の最後にはバレンタインのお返しを催促するメッセージまで添えてある。まるで私がホワイトデーの存在を忘れているかの如く〝お返し待ってまーす❤︎〟などと言われ逆にやけになり予定より大きめなケーキを準備してしまった。部員の策略にハマったことに気づいたのは会計を済ませた後である。シンガポール組は大胆にも屋外での撮影を連日敢行。3人が常にお揃いだった服装は現在考案中である2ndユニのデザインに大きな影響を与えそうなほど似合っていた。またシンガポールは海外ゆえ、道ゆく人々も相当なオープンマインド。最終日の動画には修学旅行には全く関係ない人が数人混じっていた。限られたボキャブラリーから〝ターン!〟〝オッケー!〟と楽しそうに叫ぶ部員のコミュニケーション能力に、いろんな意味で涙が出た。2年生が不在でちょっと寂しい数日間ではあったがズンバ動画が心の支えであった。
とはいえ1年生が何もしていなかったわけではない。むしろ連日、日替わりでキャプテンを決めて練習に精を出した。アイデア不足や技量不足は否めないが、そんなことは全く関係ない。何より、主体者意識をもって取り組めたことが素晴らしかった。入部してほぼ1年経過したが今までで一番声を出し、本気で取り組んでいたようにも感じた。本音を言えば〝なんでいつもこんな感じでやらんのかねぇ…〟と愚痴がこぼれるところだが、自分たちの学年しかいないところで何かを感じ取ってくれたなら、それでいい。今後につながれば、もっといい。
そんな中、ミサトがチームを代表してグランドリーガに参加。可愛い子には旅をさせよ的感覚で送り出したが引率のカピタ多田先生や南山梅垣先生、そして名経大三壁先生のおかげでぼっち感も多少和らいだ様子。カピの子ともずいぶん楽しく交流したらしい。良かった良かった。そのミサトが戻った翌日、恒例のミステリーツアー(と言う名の体幹トレーニング)を決行。セントレアにほど近い山中での猛特訓(?)は丸太に全力で跨ったり、ロープでバランスをとったり、タイヤに尻を弾かれたり。川に落とされるギリギリな感じに、阿鼻叫喚が途絶えなかった。
最近、アスレチックを通じてチームワークを養う新任研修などが社会人でも増えているらしい。それはかなり的を得ていると今回強く感じた(これは結構マジである)。必要以上に多すぎる(と私は昨年から思っている笑)アトラクション全てを全員でクリアしようと声を掛け合い、時にはアクシデントを大笑いでやり過ごし、時には最後の一人の達成を拍手で喜び合う。もっと言うなら、行きのカンテラ号車内ですでにその予兆はあった。あいな&あやか(通称ダブルA)がなんと新ネタを披露し、それを撮影。修学旅行先の先輩に送ったのだ!いつも私からダメ出しを喰らっている14期生がこんな時間を過ごせるなんて…またまたいろんな意味で涙が出た。

中学校の卒業式を終え、新1年生の合流も本格化してきた。当然、高校生よりもオフを多めに取りつつも、合流するたびに表現してくれるポテンシャルの高さを目にし、期待が高まる毎日である。もちろん、刺激を受ける新3年と新2年もそれぞれに力をつけているのは間違いない。

上旬から中旬にかけて淑徳大、愛知東邦大、ルネス学園、至学館と対戦。意義深い内容と結果の実戦トレーニングを積み重ねることができた。そして24日から4日間、18/19シーズンを戦う新チームが北陸で多くの経験をしてきた。今年度も声を掛けて頂いた北陸大学渡辺先生と越田総監督には心から感謝しかない。


初日は私の仕事都合で残念ながら移動のみとなったが、その移動時間や宿舎での初ミーティングも全てが新1年には新鮮だったと思う。2日目から実戦(全て35分ハーフ)。丁寧なサッカーを心がける金沢伏見、OGがお世話になっている北陸大学、そして私たちの目標である村田女子。3日目は再び村田女子、そして高校単体としては初対戦となる星稜。最終日はお姉さんチームが全国3位を遂げた福井工大福井の中学生チーム。対するアンガクは主力になると目されるメンバーと、主力になろうと懸命なメンバーがそれぞれ奮闘。その結果、全試合で得点を挙げることに成功し、村田女子との2試合以外は全て勝利を収めた。
 
ピッチの内外で、トピックスは多い。
宿舎でもピッチでも新1年生に対し丁寧に、しかし確実に関わり始めた先輩部員の姿が多く見られた。その姿勢はすぐに効果としてプレーにも表れる。シンプルなコミュニケーションとボールの動かし方。ポジショニングの修正も常に実行され、実戦ありきの合流という、いわば実験的な3月の試みに対し鮮やかな回答を導き出した。
通称北陸坂(と私が勝手に呼んでいる)での坂道ダッシュ。出たかった試合に起用されなかった部員が自主的に何本も走った。北陸大でお世話になって数年になるがこんなことは初めてだ。きっと悔しさを紛らすためだったと思う。しかし本当に心から全力で取り組む姿勢は決して悲観的でなく、むしろポジティブ。その姿を見て自然と仲間も集った。フルタイムで出場したキャプテンも自身のアイシングを施すよりも大声で励まし続けることを優先した。そんな様子を見た新1年生も合流。訳も分からず一緒に走った。でも一生懸命取り組む先輩に惹かれ始めたのは確かだ。
例年通り、北陸での最終ミーティングで18/19シーズンの公式ナンバーを全員決定。それぞれに、その番号に寄せる思いがあった。憧れの先輩に近づきたい、昨年の自分自身に勝ちたい。理想のプレーに思いを馳せている限り、成長は止まらないと私は信じる。所詮、数字はただの記号でしかない。しかしその番号を背負って1年間を戦えば、その数字に魂は宿る。
村田女子はやっぱり強かった。攻守に渡り、全てが私たちの目標である。とてつもない存在だと感じるのは、部員の代が年々変わっても纏うオーラが全く変わらないというところだ。部員だけではない、矢代先生の存在が私の目標である。久々、部員に村田女子とアンガクの関わりの歴史を伝えた。当時、まだ本当に何もできなかった頃でも面倒をみてくれた〝村田魂〟に、早く恩返しをしなくては。

1日のオフを挟み、残すはあと3チームとの実戦。つまり、まだまだ積み上げるチャンスがあるということ。
数ヶ月先、「今があるのはあの3月を過ごしたおかげだ」と思うことができれば、最高だ。