2014年9月
学びの秋。収穫の秋。
9月7日。県選手権準々決勝。対名古屋レディース。0-7。
一週間前の勝利からオフを挟んで考えたのは名古屋対策。ここでどういうサッカーを表現できるか…によって今後の成長を図ることが出来ると踏んだ。時間の経過とともに部員全体の目指すべき戦術的理解は進み、少ないチャンスを生み出す方法と、それをいかにしてモノにするか、についての共通認識はそれなりに深まりつつあったと思う。と同時に、攻守に渡って完全なる格上チーム―なでしこリーグ入りを目指し、今シーズンは東海リーグ1部で首位―に対して、どういった心で戦いを挑むべきなのか…これに関してもまずまずの準備を出来たと思う。それでも、0-7。
前日夜から降り続いた豪雨は何とか止んだものの、ビショビショの天然芝は想定以上に重い。会場に着いて準備のためにゴールを運んだりネットをとり付ける。動く足取りが重たいのはかなりの範囲で水溜りになっている芝のせいだった。名古屋の選手たちは手際よくベンチ用のイスを運んだり、コーナーフラッグを設置している。雨除け用のテントも用意してくれて、少しでも手伝おうかと思い、近寄ると「あーすいませーん、助かりましたー!」と笑顔で軽いコミュニケーション。何というか…どれだけ強いチームでも全くエラそうぶらない姿勢に好感が持てる。
指揮するは菅野氏。実は私にとって大変お世話になったサッカーの先生でもある。私がC級ライセンスを取得した際、講師を務められたのが菅野先生だったのだ。あれから10数年…研修最後の夜、同志とともに互いにこれまでの努力を認め合い、これからの希望や夢を熱く語り合った宴は、いまだ鮮やかな記憶として留まっている。そして、そんなアドレナリン出まくりの、(若くもないが)若気の至りともいうべき時間をわざわざ菅野氏は(きっと相当疲れていたのに…受講生より年を食っているのに!…)共有してくれたのだ!長時間、最後までその場にいてくれた氏は最後の挨拶で「いままでたくさんのライセンス受講に関わりました。それぞれに多くの思い出がありますが、ここまで熱くて興味深い集団は、初めてでした。」と、氏らしい穏やかさと共に、受講生の未来に対して確信をもった言葉で最後まで励まし、そして労ってくれた。…そんな記憶が脳裏に浮かぶ中、ご挨拶と握手。ご無沙汰してます…どうぞおねがいします…部員には実は言ってないんです…菅野さんが師匠だとは…いや、言わない方が良いね。試合が終わって、そういうタイミングがあったら言えばいいんだと思うよ…。そんな言葉を掛けてくれた菅野氏は、やはり人間的な器が限りなく大きい。勉強させてもらいます、と言葉を続けると、いやいや…トーナメントは何が起きるかわからないですよ、だから私たちも選手に全力で頑張らせます…と続けられた。隙あらば何かを起こそうと考えていた私にとって、これは…脳天を打ちのめされたに等しい一言。
前半2失点。後半5失点。時間帯でいえば、ともに開始直後の失点が悔やまれる。現象的な面で反省すべきは不要なバックパスがショートして速攻を許したシーンやピッチ状態に適した強いインサイドパスが繰り出
せなかったことが大きい。後半の半ば以降、幾度かサイドを突破を試みることが出来た。あのシーンを、もっと早い時間帯で、意図的に増やしたい。チーム全体で予測に基づいたインターセプトとショートカウンターを実現できたのは後半に一度だけ。これをこういうレベルの対戦でも試合トータルで、もっと出来るようになりたい。
下剋上は起こせず。しかし公式戦で、名古屋のトップチームと出来たことが収穫。少しだけ強がりを言うと、一敗は一敗でしかない。そして、その一敗から多くのことを学べば、それは一試合以上の価値がある。自分にそう言い聞かせ、部員に同じことを言葉として伝える。試合終了後、そんな時間を少しだけ過ごし、今年度の愛知県選手権をベスト8で終えた。
県高校リーグ1部、第5節vs春日井商業、第6節vs椙山女学園を実施。2試合ともに苦しむ時間がありながらも何とかモノにし、これで通算5勝1敗。あと1節を残すものの、現時点で1部準優勝をほぼ手中に入れることとなった。昨年度の1部第3位も出来過ぎの感があったが、それにも増してこの結果はやはり嬉しく、毎年のことながら先輩を越えようとする部員の頑張りを誇りに思う。トピックスとしてはやはり椙山戦での奮闘が光る。これまで幾度も苦汁をなめ続けた2強の一角に対し、ボール支配は譲りながらも試合の流れはほぼ掴み続けた。集中力を切らさないグループ戦術が功を奏した。また、怪我で大事をとり出場を見合わせた主力の分も…と出場したセカンドメンバー含めた皆が力を尽くした結果であることも記しておこう。しかしこの一試合で優劣の序列が変わるとは私も部員もまったく思わない。良いこともそうでないことも、表出した現象全てを素直に受け入れ、今後もトレーニングを通して、積み重ねていくだけである。
体験入部にも少しだけ触れておこう。
第1回学校見学会に同居する形で8月26日27日両日実施。二日間で29人が参加。もちろん西三河在住が圧倒的多数派だが尾張地区から、あるいは県境を越えてまで遠方からも参加してくれる中学生を見ると嬉しく思う。ここ数年、少しずつ〝サッカー経験有り〟の参加人数が増えてきている。とはいえ過半数は〝サッカー大好き未経験者〟である。そんな半端ないミックス感もまた楽しいひとときを演出しているのかもしれない。雰囲気としては〝ケガを恐れず妙に盛り上がる球技大会〟といった風情(笑)。ゴールが決まるたびに遠慮がちにハニカミながらハイタッチをする姿も時間の経過とともに笑顔いっぱいになる。最初はドキドキしている中三生もアイスブレイクで少し緊張が解けて、いっぱい雑談をしながらミニゲームに興じる。ときどきプレーするアンガク部員の姿に「すごーい♪」の声が上がれば、高校生もちょっとドヤ顔になるのは大目にみよう。合い間に(勝手に?)繰り広げられる女子会フリートークも互いに親しくなるきっかけになっているようだ。
今年度の体験入部はあと3回の予定。所属チームのスケジュールもあってなかなか都合が合わなくて…という中学生もいるようだがご心配なく。必ず中学の先生に相談した上でご一報ください。何とかなると思います。何とかなると信じましょう!なお、本気でアンガク入学&女子サッカー部入部を考えている人は早めにご参加ください。優しい先輩と優しい先生がお待ちしています。