2014年6月。Part1。
三位決定戦。
6月1日。
総体県予選、三位決定戦、対旭丘。毎年じっくり作り上げてくるチーム力は見事としか言いようがない。ポテンシャルの高い部員が多く、穴が無いチームには毎大会どの高校も手を焼くことになる。とはいえ総合力を客観的に考えれば優位に試合運びをするのは安城学園であることに疑いはない。自分たちでアクシデントを引き起こさず、どこでゴールネットを揺らせるか。そこが焦点であった。
会場に到着したのは8:30。球技場に到着した時にはすでに至学館部員が会場づくりのためグランド内を奔走。本当に心強い仲間だ。揃いの白ポロシャツがまぶしく見えるのは日差しのせいだけではない。続いて、審判団の先生方や大会最終日を見届けようとどんどん増えていく顧問団。ふと見ると岩倉総合、南山の部員の姿も(他もいたかな?ごめんなさい!)。こうしてみると県内高校女子サッカーの世界は対戦相手としてだけでなく、認めあって、評価し合って成長しているんだなぁと実感する。
6月初日にしては厳しすぎる日差しの中、定刻10:30にキックオフ。まずは手慣れた4-2-3-1で中盤を支配するプラン。自分たちの積み上げてきたモノをピッチ上でいかに表現できるか。そこを念頭に置いて挑む一戦であるとキックオフ前に一言二言。過緊張を感じさせない落ち着いた入り方であった。すると開始早々ビッグチャンス。タテに抜け出したしおりがディフェンスラインを突破、GKと1対1に。しかしペナルティーエリア手前でファールを受け転倒。あまりの激痛に一旦ピッチを離れるものの、気持ちの強さが背中を後押しする。その後も支配を続けるも無得点で前半終了。後半に入り、2トップとトリプルボランチを併用した新システムでゴールを目指す。チーム力を向上させるには、個の上積みだけでなくチームとしての新しいチャレンジが必要である。大会期間に入り“場を引き戻す”ための戦術に取り組んだ。それがこのカタチである。日差しで奪われる中盤の体力対策とは考えていなかったが、結果的に疲労を感じさせないポゼッションを継続することに成功。前半以上に支配力が増した。押し込む時間帯が増えるため、CKの回数も増加。トレーニングのイメージ通りとはいかなかったが、それでも相手DFがぎりぎりのところでクリアするしかない場面も。
サッカーは当然、11対11がピッチ上で戦いを繰り広げるゲームである。しかし、極めて稀に、ではあるがたった一人が(あるいはたった一つのプレーが)流れを変え、試合をひっくり返すことがある。いわゆる“違いを生み出す”ということに他ならない。そしてこの日の“違いを生み出す”選手だったのは、旭丘のGKだったと思う。泥臭いシュートも、サイドからの鋭いえぐりも、ぎりぎりを狙ったミドルレンジも…字のごとくギリギリで食い止められてしまった。
70分プレーしたあとの延長前後半(10分-10分)を終え、0-0。圧倒的支配と運動量、そして積み上げてきたボールを大事にするサッカーをトータル90分間繰り広げたことで満足したわけではない。しかし、PKは大体、押し気味に進めたチームに不運が押し寄せるものだ。
ここ数試合、内容的に不本意な時間帯もあり、今大会ラストゲームとなったこの試合は、本来の安城学園らしさを取り戻すチャレンジをすべきであったし、その期待にしっかりと応えてくれた内容でもあった。見応えのある、そして部員自身もやりがいを感じるゲームだったと思う。唯一残念だったのは結果がついてこなかったことだけである。
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