2014年2月。

新人戦決勝トーナメント。

2月2日、一回戦。対するは同じく1部リーグ所属の小坂井。前日に松蔭をPKで破って進出してきただけに、チームの雰囲気は上がり調子とみた。だからこそ気を引き締めて戦おうと意思確認。気合の入った表情でピッチに向かうメンバー。
前日からのひどい雨で会場の春日井商業グランドのぬかるみも大変なものであった。想定以上にボールは言うことを聞かず、なかなかフィニッシュを打ち切れない時間帯が続く。とは言えそれでもゲームの大半を支配することに成功。これまでのアンガクならスコアレスのまま後半へ…といったところだが、今大会に入りゴールに向かう姿勢がリーグ時期に比べて強くなってきた。その成果か、相手のミスを誘いPK職人(?)ふたかなが先制、数分後には右サイドをこの試合何度もぶっち切ることに成功したゆきよのセンタリングに逆サイドから詰めたきゃらが右足インステップでドンピシャ。前半を2-0で折り返す。後半に入り、若干運動量が減るものの、もう1点という思いを込めたあゆみの左足が幸運を呼ぶ。文字通り、体ごとゴールに詰め切ったほのかの動きにも大いに助けられ欲しいところで追加点を挙げることに成功。結果、3-0で1回戦を突破した。

2月8日。大雪の中、マイクロバスを走らせる。道中のアクシデントを考え、1時間程度早いスタート。会場が近づいたころ携帯が鳴る。「あー、ナカノ先生??サエキです~どーもどーも。あー、こっちは雪がね~ひどいんですよ~。もーグランド準備も全然だめ!…で、いま相談した結果、今日はすべて延期に決まりました~」…へ?延期??恐るべし新人戦…じゃなくて降雪量。毎年のように天候によるエピソードに事欠かないこの大会だが順延は珍しい。岩倉総合高校にすでに到着していた多田先生ともひとしきりグダグダと話して、しょうがないねと事を収める。その後、気持ちをゆっくり高めていた部員に説明。バス車内に残念がる声と驚きが広がる。凍てついたコンビニ駐車場で休憩。気が付けば雪合戦開始。コラコラと言いながらも何となくこちらも笑顔になる。結果、なぜだか写真撮影会に(笑)。笑顔が広がる束の間の出来事。

2月9日、準々決勝。対時習館。前回大会(高校選手権)予選リーグで流れをつかみながらも決定機に決めることができずPKで苦汁を舐めた相手である。
キックオフから流れはつかむも時習館の粘り強い守備意識に決定機というほどのシーンがなかなか生み出せない。中心選手を軸にした突破をケアする狙いはある程度機能していたものの、一進一退の攻防。前日の雪の影響もあり、互いにやりにくさは否めない。
前半をスコアレスで終え、後半に突入。後半に入り一転、押し込まれる場面が増えてくる。言うほどではないと感じていた風も災いしたかもしれない。時習館の攻勢が続き、増えるセットプレー。そんな中、後半25分、CK。それまでと変わりなく、集中力を保っていたチームがセカンドボールに対して初めて対応が遅れた。そんな場面を時習館が見逃すわけがない。ゴール前にふわっと蹴りこまれたボールは逆サイドのサイドネット上部へ。GKにしてみればもっとも取りにくい、反応しにくいシチュエーション。0-1。今大会初失点を献上。活気づく時習館に、目が覚めた安城学園。それまで押し込まれることの多かった後半だったがスピードに乗った攻撃を展開。しかしフィニッシュはGKの真正面を突く。最後のビッグチャンスはFK。狙い澄ましたボールはゴール右隅へ。決まったかと思われたが次の瞬間、GKに阻まれてしまった。そして、長い笛。新人戦が終わってしまった。

創部以来初の予選リーグ1位通過。予選含めて4試合で総失点はわずか1。新人戦での決勝トーナメント進出は初めて。
物事の捉え方は様々だが、こうして結果を肯定的に考えると、同時に“もっと出来たのではないか”という悔しさも大きくなる。実際、ある程度突き詰めてきたはずの戦術にも明確な課題が見えた。帰りのバスですでに明確な解決策を話し合うことも、納得することも出来た。ではなぜ試合前に、あるいは試合中に、そこにたどり着けなかったのか。そこがまだまだ…愕然とするほど未熟な指導力を示している。悔しいが、そういうことだと思う。勉強するしかない。試行錯誤するしかない。

敗戦翌日からトレーニング再開。村田女子の矢代先生を思い出す。『負けた試合の日はグランドに帰ってそのまま練習を始める。悔しさをバネにするんだ。失敗を失敗のまま終わらせるわけにはいかない』。この話を伺った翌年、全国制覇(IH)。当日に練習しなかったアンガクはまだまだ甘いか…。個の力をベースアップすること、そして改めて走力に焦点を当てたメニュー。そして、おととしの夏、同時期に関東遠征をした多田先生と電話で話したことも思い出す。『ものすごく走ってるよ…ここまで走らせたのは初めてかな…朝から晩までゲーム浸けだし…ほんとに良く頑張ってるよ…』。その後のカピタは王者復権を遂げた。
メニューは今まで以上に基本的なことを徹底。練習の最後に負荷をかける。走り切って立ち上がれない部員がいる。そういう毎日を過ごしている。

15日には新人戦の決勝を全員で観に行った。前日に話したのは一つだけ。「これまでは勉強のために試合を観た。今回一番感じなきゃいけないのは“そこ”に居ることのできない悔しさだ」。

20日、卒業式前日。この日だけトレーニングは無し。お待ちかねの3年生に贈る会。
ふたかなによる新人戦結果と近況報告に逞しくなったといわんばかりに目を細める3年生5人。
3年生を代表してかなが後輩にメッセージを贈る。優しくて、温かい。それでいてもっと頑張れと発破をかけるその姿は、小さいのにとても大きくみえる。
セレモニーのあとは恒例の出し物大会。即席で作った会場の机には後輩たち(のお母さんたち?)が腕にヨリをかけて作った料理が並ぶ。蛇足だが年々美味しさが増している。こりゃ来年も大変ですよ、お母さん方(笑)。
一発芸(の16?連発!)、衣装を着ての歌とダンス、どうやら相当似ていたらしいポケモンショー(4回公演?5回公演??)、1年生が頑張った“3年生と対決!”、などなど。どれもこれも趣向を凝らし、目が離すのが惜しいほど。(ちなみに顧問の独断で決めるMVPはポケモンの時のあ○まである。あの眼は…あまりにも怖かった…笑)。

最後は互いに手紙を交換してフィナーレ。涙涙のお別れ…そして互いにこれからの人生に決意を新たにした。

21日、卒業式。
8期生5人と、本当にお別れの日。
かな、まなみ、ゆめ、えりな、はるな。
「それぞれの声が届きました。成長を実感しました。
   これからも頑張れ。離れても応援しています。」
                   顧問の中野先生より